【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】赤ちゃんが出てくるしくみ、詳しく教えて
~全5回の連載特集でお届けします~
【プレママ レッスン2】
レッスン第2回目は赤ちゃんがどうやって出てくるのかを説明していきます。 あの狭い産道を赤ちゃんはどのようにして出てくるのでしょう。助産師の目線から見た図解を交えて説明していきます。
監修医師
浅井貴子先生
フリー助産師
赤ちゃん訪問指導歴約30年のキャリアを持つフリー助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。赤ちゃんのボディケアを始め、ベビーマッサージやマタニティエクササイズのインストラクターを始め、助産師としての知識を活かした産後の会陰ケア、おっぱいケア、ママのためのスキンケア、産後のメンタルケアなど、妊婦さんや産後ママ向けのセミナー講師を多数務める。
赤ちゃんはどうやって出てくるの?
体を変形させて産道を通る準備
まず赤ちゃんがするのは、ぐっと顎を引いて体を丸めた体勢をとること。ただ、これだけでは狭い産道を通ることはできません。産道を通るときにかかる圧力を借りて、赤ちゃんは自分で頭の骨を重ね合わせます。通り道に合わせて自分の頭をコンパクトに変形させていくのですから、赤ちゃんの能力は本当にすごいものです。
ママの陣痛の力を借りて向きを変えます
赤ちゃんは最初はママの腕と並行の向きでいますが、時間をかけてぐるっと背中側へ90度回転していきます。これは産道を通りやすくするためで、赤ちゃんはママの陣痛にタイミングを合わせて、ゆっくりゆっくり向きを変えていきます。
頭が見えてきたらもうひと頑張り!
ママの背中側に向いた赤ちゃんはさらに下へと降りていきます。陣痛の力とママがいきむ力を借りて下降を続けると、やがて子宮口から頭が見えてきます。このとき赤ちゃんは自分の頭が出やすいように、ぐっと頭をのけぞらせる体勢をとっています。
頭が出て体が抜けたら誕生です
頭が出ると助産師に「もういきまなくても大丈夫ですよ」と声をかけられます。助産師がゆっくりと赤ちゃんの顔が出てくるまでを助け、頭が出きったら、赤ちゃんは肩を抜き出すためにまた産道に入るときと同じ方向に自分でぐるっと向きを変えていきます。助産師が片方ずつ肩を抜いてあげて、体が完全に出きった瞬間、まさに新しい命の誕生となります。
図解で説明!赤ちゃん誕生までの道のり
右回りでゆっくりと降りていく
赤ちゃんが出てくる様子を、助産師の目線から見た図解でご紹介していきます。
1:赤ちゃんはママの骨盤の形に合わせ顎を胸のほうにぐっと引いて入っていきます。破水がおこるのはこの時期です。
2:この時、助産師の目線で骨盤の下から覗いた図がこれです。
骨盤の中は入口が横長の楕円、真ん中が円形、出口は縦長の楕円です。赤ちゃんはこの形に合わせてママの背中に顔が向くように90度向きを変えていきます
3:頭が骨盤の外に出始める時には後頭部がママの恥骨側になるように体をよじるように旋回します。骨盤から頭が抜けるまであと一歩です。
4:助産師に「赤ちゃんの頭がみえましたよ」と声をかけられたときはこの状態。体の中で一番大きい「頭」が骨盤を抜けると、会陰を顔で押し上げて頭を出していきます。前頭部、顔面、あごの順に産道を抜けて、のけ反るようにして顔を出します。
5:顔が完全に出たら、また回転しながら分娩開始前の横向きに。ママのふとももを見るような姿勢になったら次に肩を抜いていきます。
6:赤ちゃんは横向きの体勢を取っていますので、このとき助産師が前方の肩、後方の肩の順で肩を抜いてあげ、体が完全に出たら「おめでとう!」の瞬間を迎えます。
コラム
お産の最中、赤ちゃんの呼吸はどうなっている?
赤ちゃんは胎内にいるときはママのへその緒を通して酸素をもらっています。これはお産の最中も同じです。そして狭い産道を通るとき、産道からうける圧力で、水を含んだスポンジをぎゅーっと絞るように少しずつ肺の中の水を抜いていきますので、外の世界に出たときには肺の水を吐き出し切った状態になります。臍帯を切ると共にママからの酸素補給は終わり、産声と共に肺呼吸が始まります。
この記事のまとめ
赤ちゃんと一緒にお産を乗り切りましょう
狭い産道を通って出てくるぶん、生まれたての赤ちゃんは頭が長かったりしますが、数日で戻っていきます。また重ねた頭蓋骨も戻っていくので心配はいりません。「上手に回って降りてきてね」とママもおなかの赤ちゃんに話しかけてあげてくださいね。
次回のレッスン3「お産は赤ちゃんとの協働作業というけれど、どういうこと?」に続きます。
- 構成・文/
- 中島典子
- イラスト/
- タオカミカ