【FP監修】働くママ必見!産休中にもらえる「出産手当金」って何?
妊娠中の働くママにとって、心配なのが産休中のお給料のことでしょう。休んでいる間もお金がもらえるということはなんとなく知っていても、具体的にどのくらいのお金がもらえるのかを知らない人も多いのではないでしょうか。出産前に知っておきたい、産休中にもらえるお金について解説します。
前野 彩
FPオフィスwill代表。株式会社Cras代表取締役
CFP®認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士。もと中学・高校の養護教諭という異色のFP。結婚・加入保険会社の破たん、マイホームの購入を機に、2001年FPに転職。現在は、子育て世帯の家計相談に力を注ぐ。近書に「教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール」(日経BP社)があり、11月13日には新著「本気で家計を変えたいあなたへ<第4版> ~書き込むお金のワークブック~」(日本経済新聞出版社)を発売。
産休中にもらえる「出産手当金」
産休中のお給料はゼロ
そもそも産休は、法律により産前6週間(双子以上の多胎妊娠の場合は14週間)は本人が請求した場合に、産後8週間は必ず、仕事を休ませなければならない期間と定められています。(ただし、産後6週間が経過すれば本人が請求し医師が認めた場合には就業することも認められています。)
妊娠中の女性が会社に申請すると、この期間は産休を取ることができますが、基本的にお給料は支払われません。
お給料の2/3がもらえる出産手当金
産休を取って収入が減ってしまったプレママやママが生活に困らないために、健康保険から支給されるのが「出産手当金」です。休職1日につき、日給の2/3相当額がもらえます。
コラム
出産手当金の計算式
1日当たりの金額
【支給開始日の以前12ヶ月間の
各標準報酬月額(※)を平均した額】÷30日×(2/3)
(注※)標準報酬月額…基本給や各種手当、賞与などを基に算出される、健康保険や厚生年金保険が定める金額のこと。算出された標準報酬月額は、社会保険への加入者が支払う社会保険料や、もらえる出産手当金などを計算する際に使用される。
もらえる出産手当金の例
支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均が24万円だった場合
1日あたりの金額:24万円÷30日×2/3=約5333円
出産手当金の合計額:約5333円×(産前休業42日+産後休業56日)=約52万円
つまり、支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額の平均が24万円だった場合、もらえる出産手当金は、産休期間中の合計で約52万円になります。
退職後や予定日を過ぎた場合はどうなるの?
正社員以外や退職後でももらえる
勤務先の健康保険に加入していると、派遣や契約社員、パート従業員などの呼び方や雇用形態にかかわらず出産手当金をもらうことができます。
また、退職後であっても、一定の条件を満たしていれば引き続きもらうことができます。出産を機に退職を考えている人は、もらいそびれないよう受給資格を確認しておきましょう。
退職後に出産手当金をもらえる条件
・退職日までに勤務先の健康保険に継続して1年以上加入している。
・退職日に出産手当金の支給を受けている、あるいは受けられる状態にある(産前休業に入る時点で健康保険に加入している、かつ、退職日には出勤していないこと)。
予定日を過ぎると支給額がアップ
産休期間は産前6週間、産後8週間ですが、出産が予定日より遅れた場合はどうなるのでしょうか。予定日が遅れるとその分、産後休暇が削られてしまうのでは?との不安が浮かぶかもしれませんが、心配しなくても大丈夫。出産予定日が遅れた場合には、遅れた日数分は産前分に追加され、産後休暇の8週間はきちんと確保されるようになっています。つまり、出産予定日が遅れた場合、もらえる出産手当金の総額はアップして、反対に、予定日よりも早まった場合にはダウンするということになります。
出産手当金も、休んだ日数分のお金がきちんともらえるので安心してくださいね。
「出産手当金」をもらうための手続きは?
もらえるまでのタイムラグに注意!
出産手当金により、産休の間も一定の収入が確保できるので安心ですが、もらえるまでには時間がかかるので注意が必要です。
出産手当金は産後に申請し、振り込まれるのはその1〜2ヶ月後になります。つまり、産休に入る前、最後にお給料をもらってから数ヶ月のタイムラグが発生します。ママの稼ぎで家計を支えている、まとまった額の引き落としの予定があるなど、産休中にお金が必要な場合には、計画的にお金を蓄えておきましょう。
「出産手当金」手続き方法
出産手当金は、勤務先を通じて手続きを行います。以下の手順に沿ってしっかりと準備をしましょう。
①産休前に勤務先で申請書をもらう
勤務先を通じて健康保険に申請するので、産休前に申請書をもらっておきます。
②記入した申請書を入院時に持参する
事前に必要事項を記入しておき、入院時に持参します。
③産後、医療機関で記入してもらう
医師/助産師の記入欄に出産日など必要事項を記入してもらいます。
④勤務先に提出する
記入ミスがないか確認し、会社に提出します。
⑤1〜2ヶ月後に振り込まれる
申請してから1〜2ヶ月程度で指定の口座に振り込まれます。
この記事のまとめ
お金の不安は早めに解消しよう
産休中には出産手当金として、お給料のおよそ2/3がもらえます。出産日が遅れても、休んだ分の出産手当金はしっかりともらえるようになっています。
初めての妊娠・出産はわからないことだらけ。体調も変化しやすい時期です。出産手当金の申請手続きを進める以外にも、緊急入院など万が一の場合に備えて、予備のお金を入れてある口座情報などをパートナーと共有しておくと安心です。お金の不安は早めに解消して、安心して赤ちゃんを迎える準備を整えていきましょう。
- 構成・文/
- 永井 志樹子
- イラスト/
- 深川 優