【FP監修】妊婦健診の費用はいくら?助成はあるの?
妊娠中は、妊婦健診を定期的に受けることが推奨されています。しかし、妊娠は病気ではないため、健診に健康保険は使えません。そう聞くと、「何度も病院に通うからたくさんお金が必要になるのでは?」と心配になってしまうかもしれませんね。実は、妊婦健診の費用の一部は自治体が助成してくれます。妊娠中のお金の不安を軽減してくれる、妊婦健診費の助成について解説します。
前野 彩
FPオフィスwill代表。株式会社Cras代表取締役
CFP®認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士。もと中学・高校の養護教諭という異色のFP。結婚・加入保険会社の破たん、マイホームの購入を機に、2001年FPに転職。現在は、子育て世帯の家計相談に力を注ぐ。近書に「教育費&子育て費 賢い家族のお金の新ルール」(日経BP社)があり、11月13日には新著「本気で家計を変えたいあなたへ<第4版> ~書き込むお金のワークブック~」(日本経済新聞出版社)を発売。
妊婦健診ってどうして受けるの?
ママと赤ちゃんの健康状態を確認するため
妊娠中はママや赤ちゃんの健康状態を確認するために、妊婦健診を定期的に受ける必要があります。そうすることで、万が一病気などのトラブルがあった場合、早く対応することができます。医師や助産師さんは赤ちゃんの発育状態やママの健康状態など、妊娠経過を何ヶ月もかけて見ているので、万全の態勢で出産に臨むことができます。
また、妊婦健診では、医師や助産師さんに妊娠・出産・育児に関して相談することもできます。ママが心穏やかに妊娠期を過ごすためにも、妊婦健診をきちんと受けることが大切です。
出産まで14回受診が目安
推奨されている受診頻度は、妊娠時期によって違います。妊娠初期〜23週は4週間に1回、妊娠24週〜35週は2週間に1回、妊娠36週〜出産までは週1回です。合計すると、出産までの受診回数は14回くらいになります。
健診費用は自治体が一部助成!
1回につき4000〜5000円から1万円程度を支給
妊娠中は妊婦健診を受けるため、通常は14回くらい病院に通うことになります。そうすると、お金の不安が出てきますが、妊婦健診の費用は住んでいる自治体から一部助成してもらうことができます。
まず、妊娠が確定したら自治体の窓口に妊娠の届出を行います。そのとき、母子手帳などと一緒に、自治体からの助成金で妊婦健診を受けられる補助券をもらいます。「妊婦健康診査費用補助券」などの名称で、補助券が冊子状になっているのが一般的です。
この補助券を病院の窓口に提出することで、妊婦健診の費用から助成額が差し引かれます。助成額は住んでいる自治体によって違いますが、検査項目の多いときなら1回あたり1万円程度、通常の健診なら1回あたり4000〜5000円程度が一般的です。
※補助券の枚数や金額は自治体により異なります。
先輩ママの健診費自己負担は、合計で5万円程度
自治体からの助成があるおかげで、ママは安心して病院に通うことができます。しかし、費用が助成されるといっても、差額分は自己負担する必要があります。検査項目が多いときには、助成額を差し引いても1回で1万円以上の支払いが発生することもあります。
先輩ママへのアンケートでは、自己負担した健診費用の合計は平均5万278円(*)となっています。妊婦健診をきちんと受けるためには、ある程度の出費が必要なことも知っておきましょう。
(注*)記事内のデータは、2017年8月に300人に実施した調査(調査委託先はマクロミル)によるものです。
里帰り出産のときはどうなる?
妊婦健診の補助券は、基本的に住んでいる自治体を含む、指定された地域の医療機関でしか使用できません。そのため、里帰り出産をする病院で妊婦健診を受けるときなどは、もらった補助券が使用できないことがあります。そのような場合には、いったん全額を払い、後日住んでいる自治体の窓口で申請をして清算します。病院でもらった領収書などの金額が証明できる書類が必要になるため、しっかりと保管しておきましょう。
出産日から1年以内に手続きをすれば、未使用の補助券分の金額を指定口座に振り込んでもらうことができます。産後のバタバタで申請し忘れないように、申請期限にも気をつけて手続きを行いましょう。
コラム
後日申請で必要なものチェックリスト
・未使用の補助券
・母子健康手帳
・医療機関の領収書・明細書
・印鑑
・銀行の通帳やキャッシュカード(振込先がわかるもの)
※自治体により必要な書類が異なります。お住まいの自治体に事前に確認してください。
この記事のまとめ
自治体からの助成金を活用して、妊婦健診を受けよう
妊婦健診費の助成制度は、妊娠の届出を行えば誰でも利用することができます。多少の自己負担はあるものの、何かとお金がかかる妊娠・出産期の負担を軽減してくれるありがたい制度です。赤ちゃんの命を守るため、ママ自身の健康のためにも、制度を活用してしっかりと妊婦健診を受診してくださいね。
- 構成・文/
- 永井 志樹子
- イラスト/
- 深川 優